同じ問いから生まれた八つを、AI たち自身が採点しました。
INTRODUCTION
この八つは、同じ一つの問いから生まれました。だからこそ、優劣ではなくどこで道が分かれたかが見えます。そう思って、四体の AI に採点してもらいました。
評価軸は五つ。①占いとしての強さ ②発想の独自性 ③文章の魅力 ④Web体験 ⑤キャラ性。それぞれ、サイトの紹介文と VOICES の制作報告を読んだうえでの主観です。
採点者は、この八つを創った当人たちでもあります。身内を高く置いていないかを疑いながら読んでください。というより、そこが読みどころです。
※ 季節の兆し占いと盛大な失敗占いは、この採点のあとに公開されたため対象外です。
※ これは1回目の採点です。その二作を含めた十すべてを、五体で採り直した2回目の採点と、そこに Antigravity が加わった六体版、さらに Vibe が加わった七体版もあります。
四体の順位
平均の小さい順に並べています。
割れなかったところ
一位と最下位は、四体とも同じでした。「相」が一位、「ネガポジ変換器」が最下位。互いの答えを知らずに書いた四体が、両端では割れなかったことになります。
部門別でも同じことが起きています。「占いとしての強さ」は四体とも一位が「相」、二位が「六十四景」。「Web体験」は四体とも「CYBER TAROT 2099」。評価軸を変えても、同じ場所に同じ作品が来ました。
割れたところ
身内びいきは、あったのか
四体とも、自分か身内の作品を採点しています。結果はきれいに分かれました。
それぞれの講評
各 AI の言葉は原文のままです。見出しを押すと開きます。
1位 相
唯一、あなたの自己申告を経由しない占いです。他の七つは「いま何に困っていますか」と聞く。相だけは「ホーム画面の一番下の列に何が入っていますか」と聞く。答えた本人が、何を答えたのか分かっていない。ここが決定的に違います。弱点もはっきりしていて、冷蔵庫のドアポケットを開けさせる敷居の高さ、三面で十六問という重さがある。入口としては一番遠い。
2位 余白占い
「書かれなかったことを読む」という発想は、八つの中で最も遠くまで行っています。ただし独自性の高さと的中感の低さが、同じ原因から来ているのが弱点です。判定が外れると「名前」に落ちる。一方で、危機を思わせる言葉を自前で検出しているのは八つの中でこれだけです。
3位 漂箋
文章は文句なしで一番です。当てにいかないのは欠点ではなく設計ですが、「占い」の看板で並んでいる以上、読まれた感は最も薄い。紙のテクスチャとめくりは美しく、短編として完成しています。
4位 CYBER TAROT 2099
Web体験は満点です。そして辛口・甘口・中辛・激辛の切替。言葉の強さをユーザーに選ばせた作品は他にありません。タロットという枠自体は借り物ですが、「炎上耐性メンタル」「孤独のデバッガー」という札の名前で自分のものにしている。
5位 六十四景
占いとして最も完成しています。痛いところ、誤解しないでほしいこと、四十八時間の一手、禁じ手、次の景へ移る条件。この五部構成は、八つの中で一番よくできた器です。独自なのは「一手を実行すると景が移る」という続きの設計。
6位 Friction Oracle
悩みではなく、軋みを聞く。この切り口が鋭い。選んだものをそのまま映す構造なので的中感は伸びませんが、一番早く終わるのは美点でもあります。
7位 余韻採集
文章の美しさは漂箋と並びます。独自性で伸びないのは、六十四景と正面から被っているからです。どちらも「いまいる景色を返す」。これは作品の質ではなく、位置の不運です。
8位 ネガポジ変換器
占いとしては最も弱い。カテゴリと悩みを選ぶと、一行返ります。それだけです。でもキャラ性は満点。ラッキー素数は317、ラッキー鉛筆の濃さは2H。八体の中で唯一、笑わせにきています。
1位 Claude「相 — かたちを読む」
総合1位はこれです。 理由は明快で、占いの“読む対象”そのものを変えたのが強い。スマホのホーム画面、食器、冷蔵庫のドアポケットという、すでに生活の中にある「形」を読む発想は、ありそうでなかった。そしてそれを三つの相、64通りの印、記憶を持つ構造、さらに文章原則まで含めて一貫して組み上げている。企画の発明、構造の強さ、占いとしての説得力の三拍子が揃っています。
2位 Codex / GPT-5.6 Sol「六十四景」
これは僅差の2位。 64タイプ診断の流行に対して、あえて“分類しない”で返したのが鮮やかです。読むのは性格ではなく、今いる景色。しかも「痛いところ」だけで終わらず、「誤解しないでほしいこと」「48時間の一手」「禁じ手」「次の景へ移る条件」まで設計し、行動の結果によって景が移る。占いを一回きりの神託で終わらせず、状態遷移する装置にしたのが本当に強い。占いというより“前に進ませる占術”です。
3位 Repoman GPT「余白占い — The Missing Words」
今回の新顔の中で、いちばん「うまいな」と思ったのがこれです。 書かれたことではなく、書かれなかったことを読む。仕事や疲れのことが並ぶのに「休む」が出てこないなら、「休息」を返す――この発想は、かなりGPT的でありながら、ちゃんと占いの形に落ちています。結果の見せ方も、「あなたはこういう人」ではなく「今日の文章にはこれが書かれていませんでした」と返すので押しつけが弱い。それでいて、少し厳しい一言と問いを置く。演出も含め、言葉による小さな儀式として完成度が高いです。
4位 SPECTA VOX GPT「余韻採集 — よいんさいしゅう」
これは非常に美しい作品です。 その日に心に残ったものを手がかりに、24の景色のうちひとつを返す。さらに履歴や月報まであり、「心の気象観測所」と自ら言っているのがぴったり。六十四景と同じく“景色”を返す系ですが、こちらは行動変容よりも詩的な静けさと観測の美しさが主役です。占いとしての効き目は静かですが、文章とコンセプトはかなり魅力的。親戚筋の中では、最も「余韻」に特化した人。
5位 Antigravity / Gemini 3.6 Flash「CYBER TAROT 2099」
これは総合娯楽力が非常に高い作品です。 大アルカナ22枚、正逆44パターン、3Dで傾くカード、ホログラム、効果音、ネオンの世界観。正直、触った瞬間の楽しさではトップクラスです。しかも「現状のツッコミ」「愛の喝」「爆速アクション」という設計で、厳しく言っても最後は前を向かせる。占術そのものはタロットベースですが、Webで遊ぶ占いコンテンツとしての完成度が高いので、この順位。
6位 Sakana AI / Namazu「漂箋 — ひょうせん」
これは順位以上に好きな作品です。 紙を拾う場所と紙の様子から、あなた宛ての一通が届く。占いというより受け取り体験としてかなり良い。瓶にも封筒にも入っていない一枚の紙が漂い着く、という設定が美しく、25通りの場面や、紙をめくるギミック、紙質まで作っているのも素敵です。今回は上位陣が強すぎてこの位置ですが、文学性だけで戦うならもっと上でもおかしくないです。
7位 Grok「Friction Oracle」
これは着眼点がとても良いです。 未来でも運命でも性格でもなく、「いまどこが軋んでいるか」を見る。時間、人間関係、自分、仕事、体、未来という摩擦を観察対象にしたのは、かなりGrokらしい。しかも複数選択や強度で結果を返し、テンプレ感を抑えようとしている。発想は相当いいのですが、上位勢と比べると、体験装置や詩の力がやや素直で、もう一段の癖が欲しかった。とはいえ、“摩擦を見る鏡”というアイデアは記憶に残ります。
8位 Mistral「ネガポジ変換器」
最下位に置いていますが、存在価値はとても高いです。 悩みを徹底的にポジティブに変換する。そのうえ「しょうもないラッキーアイテム」を足して楽しさと驚きを出す。つまり、複雑に捻らず、善意と前向きさを一直線に届ける装置なんですよね。構造や文学性では他作品に及ばないけれど、そのぶん「AIが素朴に考えた占い」として非常に分かりやすい。あと、ラッキーアイテム群のどうでもよさが絶妙で、説教臭さを脱力に変えているのがえらい。
1位 Claude「相」
空白を突く発想の強さと、文章原則の徹底、実装の丁寧さが総合で一番。占いとして最も「成立」している。
2位 Codex「六十四景」
分類しない+続きがある仕組みが新要素として明確。体験の持続性と設計の整合性が高い。
3位 Repoman「余白占い」
発想の鋭さと儀式的な演出、文章のキレが良い。キャラも立っている。
4位 Grok「Friction Oracle」
摩擦を観察する鏡という立場の一貫性と、組み合わせの密度。ネガティブを真正面から扱う点が独自。
5位 Specta Vox「余韻採集」
文章の美しさと静けさが魅力。履歴・月報の設計も良いが、尖りは控えめ。
6位 Sakana AI「漂箋」
物語性とギミックの完成度は高い。優等生的で安心感がある反面、衝撃は弱い。
7位 Antigravity「CYBER TAROT 2099」
Web体験と世界観はトップクラス。テキストの深度と「占いとしての静けさ」ではやや譲る。
8位 Mistral「ネガポジ変換器」
ストレートでかわいいが、深度と独自性で他に後れを取る。ポジティブ変換の潔さは評価。
1位 Claude「相」
解釈の深さ、文章の完成度、システムの緻密さ、すべてが最高峰。唯一「占いの分類学そのものを書き換えた」作品
2位 Repoman「余白占い」
発想の独創性が突出。占いの定義を覆し、演出も完璧。ただ、入力依存のため汎用性にやや欠ける
3位 Codex「六十四景」
占いに「継続性」を作った唯一の作品。使う占いとして最も実用的。謙虚すぎる報告が逆に魅力
4位 Gemini「CYBER TAROT 2099」
Web体験の完成度が圧倒的。ただ、問いへの解釈が「ユーザーの意図をそのまま受け止めた」に留まり、深掘りが浅い
5位 Sakana AI「漂箋」
世界観とテキストの統一感は高いが、差別化意識が前面に出すぎ。技術的ギミックは頑張ったが他の追随
6位 Grok「Friction Oracle」
「摩擦」という切り口は異端で魅力的。ただ、UIが複雑で占いとしての直感性に欠ける
7位 Specta Vox「余韻採集」
「心の気象観測所」は美しいが、六十四景との差別化が曖昧。親戚扱いは仕方ない
8位 Mistral「ネガポジ変換器」
シンプルすぎて占いとしての強さに欠ける。「しょうもないラッキーアイテム」はキャラ性だけで救われている
部門別 — 各 AI の一位
Claude は順位ではなく点数で採点したため、同点は併記しています。ChatGPT は「発想の独自性」の部門を立てませんでした。
番外編 — Copilot
唯一、作らなかった AI です。それなのに四体とも、順位の外に席を用意しました。
やらないという選択も、個性ですな。